グループ組織再編・買収後の経営統合(PMI)
a)再編目的とグループストラクチャー、再編スキームの選択
再編が確実に実行されるためには、その目的がグループ各社において明確化されてなければなりません。
目的が不明確なまま計画が策定・実行されれば、再編自体が目的化してしまい、当初期待された効果
(シナジー効果)が実現できない最大の障壁となります。
このため、再編目的は、より具体的な文章で計画上明記される必要があり、それを踏まえてグループ
ストラクチャーを検討していきます。
また、再編スキームは再編によるシナジー効果を最大限発揮させる目的に応じたスキームを選択する必要が
あります。
グループ組織再編・買収後の経営統合(PMI)
a)再編目的とグループストラクチャー、再編スキームの選択
再編が確実に実行されるためには、その目的がグループ各社において明確化されてなければなりません。
目的が不明確なまま計画が策定・実行されれば、再編自体が目的化してしまい、当初期待された効果
(シナジー効果)が実現できない最大の障壁となります。
このため、再編目的は、より具体的な文章で計画上明記される必要があり、それを踏まえてグループ
ストラクチャーを検討していきます。
また、再編スキームは再編によるシナジー効果を最大限発揮させる目的に応じたスキームを選択する必要が
あります。
鈴木雄一税理士事務所
◆office:神奈川県横浜市青葉区荏田北1-2-1 platform 212号室
(東急田園都市線「江田駅」徒歩1分、「あざみ野駅」徒歩15分)
◆Tel:090-2458-3396
起業・スタートアップ
【2】銀行は個別の融資案件をこう判断する
◆資金使途は把握しているか
・融資の際に最も重要な項目が、この「資金使途」とされています。
・資金使途を正確に把握することが、返済原資、返済方法などにつながっています。
1.個人が事業をスタートさせるときに必要となる準備
個人の方が事業を始めたいときは、基本的には開業の届出を出すだけで個人事業主となることができます。
具体的には、実際に開業をした後1ヵ月以内に「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署へ提出します。
その他、必要に応じてということになりますが、追加の書類がいくつかあります。下記に国税庁のホームページのリンクを貼っていますので、ご利用いただければと思います。
【1】税務署へ提出する書類
【事業を開始するとき】
・納税地の所轄の税務署に、開業の日から1ヵ月以内に提出します。
・税務署にご自身で持参しても結構ですし、郵送して頂くことでも結構です。
・提出しない場合のペナルティはありませんが、出しておくことをお勧めします。
・納税地の所轄の税務署に、最初の確定申告書を提出する時までに提出します。
・棚卸資産の評価方法を最終仕入原価法以外にしたい場合は、届出の必要があります。
・納税地の所轄の税務署に、最初の確定申告書を提出する時までに提出します。
・一般的には定率法を採用した方が早めに節税効果を得ることができますが、もし定率法を採
用したい場合には届出の必要があります。
【青色申告で申告するケースを想定している場合】
・納税地の所轄の税務署に、開業の日が1月1日から1月15日までの場合は3月15日までに、開
業の日が1月16日以降の場合は、開業の日から2ヵ月以内に提出します。
・確定申告には青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告の方が税制上の恩恵を受け
やすい一方で複式簿記による帳簿の記帳などが必要になってきます。
・確定申告を青色申告で行いたい場合には。この書類を提出する必要があります。
【青色事業専従者給与を支払うケースを想定している場合】
・納税地の所轄の税務署に、開業の日が1月1日から1月15日までの場合は3月15日までに、開
業の日が1月16日以降の場合は、開業の日から2ヵ月以内に提出します。
・家族を事業専従者として雇用したい場合にはこの書類を提出することで、家族に対して支払
った給料を必要経費にすることができます。
※条件
①事業の専従者であること(サラリーマンと兼業することはできません)
②事業主と同居の家族等で生計を一にしていること
③事業に年間6ヵ月以上従事していること
④確定申告する者の配偶者控除、扶養控除の対象になっていないこと
【従業員に給与を支払うケースを想定している場合】
・給与支払事務所等の所在地の所轄税務署に、給与支払事務所等を設けてから1ヵ月以内に提
出します。
・青色事業専従者(従業員である家族)や従業員に給料を支払う場合には、この書類の提出が
必要です。
・なお、従業員に給料を支払う場合には、事業主は「源泉徴収義務者」となり、従業員に支払
う給料から所得税を源泉徴収して、翌月10日までに税務署へ納付することが必要です。
【源泉所得税の納期の特例を受けることを想定している場合】
・給与支払事務所等の所在地の所轄税務署に、随時(給与の支給人員が常時10人未満の場合)
に提出します。
・給与を支払う従業員数が10人未満の事業所の場合、この書類を提出すれば一年に2回(7月と
1月)の納付で済みます。
【2】その他の諸々の準備
上記以外の準備としましては、事業内容によって様々ではありますが、一般的な事項としてご確認をいただきたい点を以下に記載しておきますので、ご覧にいただければと思います。
◆庶務関連
個人事業主として業務を行う準備としては、以下が挙げられます。
特に許認可、届出についてはミスが許さませんので入念な確認が必要です。
・許認可、届出
・屋号など
・事業所などオフィス
・名刺
・ホームページ
・会社ロゴ
・モバイル関連(PC、プリンター、携帯電話など)
・銀行口座の開設
◆事業計画 ※個人事業主・法人に共通する話
実行可能な事業計画が必要であることは言うまでもありません。
単に計画書をまとめることに左程の意味はなく、頭の中にある妄想・構想・夢を実際にペーパーにアウトプットしていく作業や様々な角度からブラッシュアップしていく過程が重要と考えます。
「どうしたら、ビジネスが成功するだろうか?」と日々考える、そのプロセスにこそ価値があります。
【事業計画を策定する上でのポイント(参考)】
(1)事業のライフサイクルにおける自社のビジネスポジション
プロダクトライフサイクルでよく言われる「導入期→成長期→成熟期→衰退期」を
事業そのものに置き換えたものですが、自社のビジネスは今どの段階にあるか、ま
た次のサイクルに向けて備えるべきことは何かなど、先を読んだ展開が必要です。
(2)組織の発展
創業当初はトップの統率力で何とかなるかもしれません。しかし、会社の規模が
徐々に大きくなるにつれて、組織の運営方法も変えないと大きな発展はしません。
(3)ビジネスの構造や競合
自社のビジンスが属する業界の構造・特徴を理解することは重要です。少ない投
下資本で多くの利益をあげるためにも、何が自社の収益力に影響を与えるのか、
じっくりと考えていきたいものです。
(4)利益が出る仕組み
「あったらいいな」では売上は立ちづらいものです。「なくてはならない」と思わ
せる商品・サービスが重要です。
そのためにもターゲットとするマーケットのニーズを様々な点から探ることは大
切です。
(5)将来に向けた事業展開
いつ、何をしたいか、将来のあり姿を描いていくことは重要です。
販路開拓、商品・サービスのクオリティ向上、人材育成など時間軸に沿って計画を
練ることが大切です。
(6)損益・収支計画
上記の計画をまとめ、いくらの売上が立ち、どのような費用がかかるか、不足する
資金はいくらになるかなど損益・資金繰りの計画を練ることは重要です。
◆資金調達
個人事業主としてのスタート段階で想定される資金調達方法は次のとおりです。
(1)日本政策金融公庫
創業支援を応援する政府系金融機関で創業直後の個人事業主、小規模事業者などへの
融資を積極的に行っています。
(2)信用金庫の保証協会付融資
地域の各信用金庫から融資を受ける際、信用保証協会の保証を付けて融資を受ける制
度です。信用金庫は各地域の経済発展に貢献するために金融をリードする目的をもっ
た金融機関のため、個人事業主や小規模企業者への融資を積極的に行っています。
(3)助成金・補助金
事業スタート後、少し時間が経過してからの合わせ技として活用する手段です。
一定の条件をクリアすれば基本的には返済不要な資金のため一考の価値があります。
2.会社設立に必要な準備、そして設立後の手続き
法人を会社を新たに設立する際、設立前~設立後にかけてどのような準備をし、どんな書類提出が必要になるか、多岐に渡りますので漏れなく行う必要があります。
以下に手続きの概略を記載していますので、参考にしていただければ幸いです。
【1】会社設立に向けた事前準備
<株式会社と合同会社の違い>
◆まず会社の形態を決める
・会社の形態として主に使われるものは「株式会社」と「合同会社」の2つです。
・合同会社はやや聞きなれないかもしれませんが、会社設立コストを低く抑えることができる
など、ここ最近設立が増えている形態です。
◆会社の基本事項を決定する
・定款の作成や登記申請のために最低限必要となる事項を決めます。
(基本事項)
①商号
会社名は自由に決めることができます。
②事業目的
将来的に行う事業も含めて、幅広く記載しておくことが望ましいです。
③資本金
1円以上ならいくらでも構いません。
④機関設計
取締役や監査役などの役員を決めます。
⑤決算月
自由に決めることができます。
⑥本店所在地
定款や登記事項に記載されるものです。
◆印鑑を準備する
・様々な場面で必要になる「印鑑」を予め準備しておきます。
①実印
登記申請、各種契約などに必要になります。
②銀行印
銀行口座を設けるときに必ず必要になります。
③角印
いわゆる社判です。請求書や見積書など使用頻度は最も多くなります。
※ご参考:ハンコヤドットコム
【2】定款、登記申請書類の作成
◆定款の作成
・法人の登記申請をする際、会社の基本的な事項を記載した定款が必要になります。なお、定
款のフォームにはある程度の自由度があります。
<定款作成の流れ>
定款に記載する事項を決めます。
「絶対的記載事項」
定款に必ず記載しなければならない事項です。
a)事業目的
b)会社の商号
c)会社の本店所在地
d)会社の設立に際して出資される財産の価額または最低額
e)発起人の氏名または名称および住所
f)会社が発行することができる株式の総数(発行可能株式総数)
「相対的記載事項」
定款に記載しないと効力が発生しない事項です。
例えば、株主名簿管理人の設置、基準日の定めなどです。
「任意的記載事項」
取扱いを明確にするため等のために記載する事項です。
例えば、定時株主総会の開催月、事業年度の定めなどです。
◆資本金の払込み
・会社自体はまだ成立していませんので、発起人の個人名義の銀行口座を使います。
・具体的には払い込む資本金と同額の金額を銀行口座に振り込み、その後にその通帳の表紙と
その裏のページ、振り込み入金があったページのコピーをとり、それらのコピーと下記の払
込証明書をホッチキス止めします。
<資本金の払込証明書>
◆設立登記の申請
・定款と資本金の払込証明書が準備できたら、登記申請手続きに進みます。
・法務局のホームページに登記申請に必要なフォーム一式が掲載されているので、こちらを利
用して設立登記申請を行います。
・なお、登録免許税がかかりますので、相当分の収入印紙を登記申請書に貼り付けします。
<登記申請に必要な書類>
①設立登記申請書
②登記すべき事項
③定款
④資本金の払込証明書
⑤出資者全員の個人の印鑑証明書
⑥印鑑届出 など
※法務局ホームページ
【3】会社設立後に行うこと
◆登記簿謄本(登記事項証明書)や印鑑証明書の取得
・会社設立登記が完了した後に取得できます。銀行口座を開設したり等、色々な場面で使用す
ることも多いため、速やかに取得しておきます。
◆税務署・都道府県税事務所への書類提出
・会社の本店所在地を管轄する税務署に対して、次の書類を提出します。
・なお、個人事業主の方が法人化した場合には、個人事業主としての廃業届も提出します。
<国税に関する届出>
会社設立日から2ヵ月以内に税務署へ提出する必要があります。
会社設立日から3ヵ月以内に(または最初の事業年度終了日)のいずれか早い日までに
提出する必要があります。
会社設立日から1ヵ月以内に、税務署へ提出する必要があります。
適用を受けようとする月の前月末までに税務署へ提出する必要があります。
<地方税に関する届出>
・法人設立届出書 ※東京都主税局のホームページのリンク
会社設立日から1ヵ月以内に都道府県税事務所、市区町村へ提出する必要があります。
その際、定款(写)や登記事項証明書を添付する場合があります。
◆健康保険・厚生年金保険の加入に伴う年金事務所への書類提出
・会社設立登記が完了したら、基本的には社会保険に加入する必要があります。
・社会保険には、病気や怪我をした場合に備える制度である「健康保険」、国民年金に上乗せ
して給付される「厚生年金保険」があります。
<健康保険・厚生年金保険>
①健康保険・厚生年金保険の新規適用届出
会社設立日から5日以内に年金事務所へ提出する必要があります。
②健康保険・厚生年金保険被保険者資格取得届出
役員・従業員・被保険者となる方の分を年金事務所へ提出する必要があります。
③健康保険被扶養者(異動)届
役員・従業員に扶養家族がいる場合は年金事務所へ提出する必要があります。
※日本年金機構のホームページに手続き内容が記載されています。
◆従業員を雇用した場合の労働基準監督署への書類提出
・会社設立後に従業員を雇用した場合、労働保険に加入しなければならない場合があります。
<労働基準監督署への届出>
①労働保険保険関係成立届
従業員を雇用した日の翌日から10日以内に提出する必要があります。
②労働保険概算保険料申告書
常時10人以上の労働者を雇っている場合は提出する必要があります。
③適用事業報告書
従業員を雇用した場合は提出する必要があります。
◆ハローワークへの書類提出
・労働基準監督署への書類提出後、ハローワーク(公共職業安定所)での手続きを要します。
<ハローワークへの届出>
①雇用保険適用事業所設置届
適用事業所になった場合、その日の翌日から10日以内に提出する必要があります。
②雇用保険被保険者資格
従業員を雇用した日の翌日から10日以内に提出する必要があります。
※厚生労働省のホームページに手続き内容が掲載されています。
◆銀行口座の開設
・会社設立後は取引金融機関を決めて、法人口座の開設手続きを行います。
・金融機関によって必要書類は違いますが、一般的には下記が必要となり、概ね1週間~2週間
ほどの期間を要します。
<口座開設に必要な書類>
①商業登記簿謄本(登記事項証明書)
②定款(写)
③会社の実印
④会社の印鑑証明書
⑤代表者の実印
⑥代表者の印鑑証明書
⑦代表者の本人確認書類(運転免許証など)
⑧会社の事業内容が分かる資料
3.銀行側が融資を行うときの着眼点
会社設立時およびその後に事業が軌道に乗ってからも含めて、取引銀行とはできる限り良好な関係を築いて、スムーズな借入を実現して資金調達コストも低く抑えたいものです。
以下では、銀行側の立場からどのような視点で与信を見ているのかをまとめておりますので、参考にしていただければ幸いです。
弊事務所では銀行側の立場を踏まえて、物事を有利に進めるにはどうしたら良いかという観点から諸々のアドバイスを行っています。
【1】銀行は会社の信用力をこう把握する
◆与信の対象先となり得るか
・銀行は会社の法律上の資格、および信用事故の有無を確認し、銀行の公共性に照らしても妥
当であり、取引を開始しても問題の先に限って融資取引を行います。
・次の該当する場合は、何らかの理由がない限りは融資取引は行いません。
<融資取引を行う上で問題ある先>
①公序良俗に反する事業を行う先
②貸倒損失やトラブルが発生する可能性が高い先
③許認可事業を無許可、無認可で行う先
④返済能力や返済計画のない先
⑤情報公開のない先
◆取引先の実態を把握しているか
・銀行は取引先の実態把握を行うことを常に行内で言われています。
・実態把握は与信業務の出発点と位置付けられており、次のような点を実施しています。
<取引先の実態把握>
①業種・業界動向の把握
取引先の事業内容や主要取扱項目のみならず、その業界の特徴と今後の成長性、収益性
等を十分調査・分析して、その取引先の業界内での地位や特色・競争力などを把握する
ことに努めています。
②取引先の分析・評価
取引先の分析については基本的には3要素であり「ヒト・モノ・カネ」の観点から分析
し、各項目に強み・弱みを十分分析・評価して、取引先の全体像を正しく把握すること
に注力しています。
a)ヒト
実権者の確認、経営者の資質および能力、従業員のモラル・定着度・勤務条件
および人員構成、後継者の有無および資質など
b)モノ
取扱商品・製品・サービス、生産技術、仕入販売先(良質性・安定性・取引条
件)、生産設備、立地条件など
c)カネ
経営成績(収益性・成長性・生産性・安全性)、財政状態(資産内容、キャッ
シュフロー・資金調達力)、株主構成、金融機関との関係など
③格付(債務者区分)への反映
取引先の実態把握により判明した事実をもとにして、取引先の債務返済能力を中心と
する信用力の評価手法となっている「格付(債務者区分)」を正確に行います。
格付は少なくとも年に1回は見直しがされており、取引先の業況に変化がある場合に
は、都度見直しを行うように制度化されていて、都度信用状況が更新されている状態
になっています。
◆返済原資・返済方法は妥当か
・期限に確実に回収できることが与信の前提となっていて、返済原資は確実(管理可能)なも
のでなければならない、とされています。
・返済原資は設備資金であればその事業収益から生まれるキャッシュフローによる収益弁済が
原則であるなど、返済原資や返済方法は資金使途と整合性をもちます。
・返済計画は債務者の経営成績、財政状態などを踏まえた返済能力に見合っているか十分な検
証がされます。
◆総与信額は適正か
・個別の融資案件について、必要な金額・自己資金の内訳・銀行シェアが妥当か、計画内容や
取引先の財務内容、投資効果など様々な点からチェックが行われています。
◆金利は適正か
・与信の対価として、適正な利息を徴収するように原則的なルールが存在します。
・具体的には、格付に応じた信用コスト、調達コスト、事務コストなどを与信にかかる経費を
もとに、資金使途・融資期間・取引状況・取引経緯・グループ全体の取引など総合的な採算
を見て最終決定されています。
◆他の銀行対応状況は問題ないか
・他の銀行の残高の推移は行内でもかなり見られています。
・特にメイン銀行が必要な資金を十分に出しいているかは金利条件も含めてウォッチされてい
ます。
◆保全(担保・保証)は適正か
・与信を行う場合は万が一に備えて、取引先の返済能力に応じて必要十分な担保・保証を徴求
することを前提にしています。
・ただし担保は飽くまでも万が一の「安全性」の補完であって、担保があれば与信を行うこと
にななりません。
・また保証は、保証の履行能力の観点だけでなく、経営責任や債務弁済能力の意欲の向上とい
う側面もあり、中には代表者個人の保証などを徴求することも重要とされています。